「コーヒーのおかわりはいかがで・・・アッ!」
「と、遠野っ」
「先生っ、何やってるの」
「お前こそ、何やってるんだ」
男女二人の大きな声がファミリーレストラン、
ロン!ナミラーズに響き渡る。
「だって部費が足らないから」
「だからって、アルバイトは・・・ちょっと待て・・・
部費って、麻雀同好会のか?」
「麻雀部よ。部室がなくて、顧問がいなくて、
予算が出ないだけで」
「それを同好会と言うんだ。麻雀だけでも駄目
だっていうのに・・アルバイトまでするなんて・・・
教頭にバレたら・・・」
そこへ二人のウェイトレスがやって来る。
「みづきさん、向こうのお客様にもコーヒーの
おかわりを・・・アラ?」
「藤原まで・・・」
「綾ちゃーん、スペシャルマロンパイ、もうなかった
・・・ゲッ!」
「早坂は・・・当然いるか・・・ハァ・・・」
「アチャー、よりによって三人が同じシフトに
入ってる日に先生が来るなんて」
「ですから・・・私は同じ日に三人はやめた方が
いいと・・・」
「アルバイトが終わったら、三人で雀荘に行ける
からって、みづぴーが言うから」
「一人でも三人でもおんなじだっ!だいたい
三人で働いて何を買うつもりなんだっ?」
「全自動卓」
「オシボリ機」
「象牙牌」
「アホなもん買うなっっっ!」
「ねぇ、先生」
「お願いです」
「このこと黙ってて」
六つのパイに押される。
「しかし・・・」
「先生だって、ここにコーヒーを飲む為だけに
来てるんじゃないんでしょ」
「こういうことを学校側に知られるのはお互いの
マイナスになるのではないかと」
更にパイが迫る。
「とは言えなぁ・・・」
「分かった。それじゃー、私たちと麻雀で勝負
して、私たちが勝ったらアルバイトは黙認と
いうことで」
「ちょっと待て、どうして俺が麻雀で勝負を
しなければならないんだ」
「晶にしてはいい考えね。私たちが勝てたら、
先生が麻雀部の顧問になってくれるなんて」
「部室もいただけるなんて・・・」
「おっ、おい!なんだその条件は・・・出来る
わけないだろ・・・ってこんな所で卓を広げる
なっっっ」
「千点棒、たらないよ!」
「人の話を聞けっっっ!」
「そんな・・・」
「私たちが・・・」
「負けちゃうなんて・・・」
崩れ落ちる三人。
「スーパーリアルシリーズとホットギミックシリーズ
は制覇しているからな・・・」
「じゃあ、四人打ちは・・・」
「初めてだけど」
「どうりで、トイメンの私からチーをしようと
したはず・・・」
「西と北って、役がつくんだな・・・東と南
しかつかないんだと思ってた」
「風牌も分からないオタク雀士に負ける
なんて・・・」
「まあ、そういうことで・・・恒例の罰モードを
いってみようか。お仕置きっス」
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